かゆみ肌7000万人|中国スキンケア最新動向
中国では、かゆみや肌荒れをくり返す人が7000万人を超えるとされる一方、専門の皮膚科医は約3万人しかいません。その結果、多くの人が病院に頼らず、市販のスキンケアで自分の肌と向き合っています。この「自分で何とかする」需要が、中国の敏感肌向けスキンケア市場を大きく押し上げています。本記事では、その市場規模と、日本メーカーにとっての商機を整理します。
本記事の日本円は、2026年9月上旬の中間市場レートをもとに、1元=約23.7円で概算しています。実際の決済レート、手数料、為替変動により差が生じます。
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抖音(Douyin):中国版TikTok|動画を見ながらそのまま購入できるライブ配信ECアプリ
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結論:中国の肌トラブル市場で押さえておきたい4つの数字
1.患者数はけた違い
7000万人超かゆみや肌荒れをくり返す人の推定人数です。対応できる皮膚科医は約3万人しかいません。
2.市場規模は日本の4倍以上
約6,600億円敏感肌向けスキンケアの中国市場規模です(花王による推計)。日本国内市場(約1,600億円)を大きく上回ります。
3.化粧品市場全体も拡大中
約26兆円 (1兆1,042億元)2025年の中国化粧品市場全体の規模です。2026年に入ってからも前年同期比1割ほど伸びています。
4.赤ちゃん・子ども向けが新たな柱に
1.2億人アレルギーで悩む中国の子どもの推定人数です。うち4人に1人が肌のアレルギーとされています。
1.専門医が足りず、自分でケアする人が大半
中国国内でかゆみや肌荒れをくり返す人は7000万人を超えるとされる一方、対応できる皮膚科医は約3万人しかいません。14億人分の肌の悩みを診るには、あまりに人手が足りない状況です。年代別に見ると、子どもの発症率は約13%、大人は約6%とされ、身の回りの10人に1人くらいはこの悩みを抱えている計算になります。
最近、複数の病院で行われた調査(2024年実施)でも、患者の8割以上が中等度から重度の症状で、悩まされている期間は平均で4年半ほどでした。約3人に2人が花粉症など他のアレルギーも一緒に抱えており、初めて病院を訪れた時点で「症状が落ち着いている」と言えた人は3割に届きませんでした。
つまり、専門医にきちんとかかれている人はごく一部で、多くの人が自宅でのスキンケアだけで日々の肌トラブルと付き合っている、というのが中国の実情です。
2.「敏感肌ケア」市場が急拡大
この状況が押し上げているのが、「敏感肌向けスキンケア」という市場です。かゆみ体質だけでなく、肌が荒れやすい人まで含めた、もっと裾野の広いマーケットです。現地の報道によると、中国では人口の36%ほどが自分を敏感肌だと感じており、特に18〜35歳の若い世代で7割を占めるとされています。
| 項目 | 規模 |
|---|---|
| 中国の化粧品市場全体(2025年) | 約26兆円(1兆1,042億元) |
| うちスキンケアのみ | 約18兆円(7,542億元) |
| 2026年の年明け3か月間 | 約2兆7,500億円(1,160億元)・前年同期比1割増 |
| 敏感肌向けシートマスクのみ(2025年) | 約2兆円(860億元)・年2割前後のペースで成長 |
3.地元ブランドが強く、日本ブランドはこれから
この分野、いまは中国の地元ブランドが強い状況です。「皮膚科学に基づいたスキンケア」というジャンルの市場規模は、2015年から2020年のたった5年で3倍以上に拡大し、2030年にはさらにその4倍規模になると見込まれています。このジャンルを代表する地元ブランド「薇諾娜(ウェイヌオナ)」は、この10年でシェアを1.6%から23%まで伸ばし、天猫・抖音の美容カテゴリで上位常連になっています。
一方、日本の敏感肌ケアといえば花王の「キュレル」が有名ですが、花王自身の発表では、世界の敏感肌スキンケア市場規模は約3.2兆円、うち中国だけで約6,600億円と、日本国内市場(約1,600億円)の4倍以上あるとされています。花王も海外の売上比率を今の3割から2030年までに5割まで引き上げる計画を掲げていて、中国を含む海外を本気で狙いにいっていることがうかがえます。
4.赤ちゃん・子ども向けが新しい伸びしろに
もう一つ見逃せないのが、赤ちゃんや子ども向けの分野です。中国では子どものアレルギーで悩む人がすでに1.2億人を超え、そのうち4人に1人が肌のアレルギーだとされています。今年の業界の大きなイベントでも、この分野は「おまけの需要」から「これからの主力」へと位置づけが変わってきたと話題になりました。
商品としては、200元(日本円で約4,700円)以上の高価格帯の商品が主流になりつつあり、成分面では肌をやさしく守る保湿成分が重視される傾向にあります。実際の売り方としても、大学病院や小児医療機関と共同で研究している、というアピールが選ばれる決め手になっているようです。
5.治療薬の保険適用も広がっている
化粧品の話からは少し外れますが、背景として知っておきたいのが治療薬の動きです。2020年に中国で承認された、注射タイプの治療薬が同じ年のうちに公的医療保険の対象になりました。この治療薬の中国国内の売上は、2023年だけで前の年より5割以上伸びて、日本円で約340億円(14億元あまり)に達しています。対象年齢も生後6か月の赤ちゃんから大人まで幅広くカバーしています。
これは直接、化粧品の売上を増やすものではありませんが、「肌トラブルはちゃんとケアすべきもの」という認識が中国で広がるきっかけになっていて、結果として肌ケア市場全体への関心を後押ししていると見られます。
中国の敏感肌市場は日本の4倍以上の規模がありながら、専門医不足という構造上の課題から「セルフケアで解決したい」という需要が非常に強い状態です。低刺激・保湿・バリア機能といった、日本メーカーが得意とする処方設計の訴求軸がそのまま通用しやすい市場と考えられます。特に赤ちゃん・子ども向けは、医療機関との共同研究というアピールが購買の決め手になっており、丁寧なものづくりに強みを持つ日本ブランドとの相性が良い分野です。
出典・参考リンク
- 21経済網「世界特応性皮膚炎日:2025年中重度患者超2000万」2024年9月
- 騰訊新聞「特応性皮膚炎患者7000万,皮膚科医わずか3万」2026年3月
- 界面新聞「春敏カテゴリー、2026年美容業界の新たな成長エンジンに」2026年3月
- 新江蘇(新華日報系)「2026年スキンケア業界トレンド」2026年8月
- 新民週刊「2026年母子向け大会、敏感肌ベビーケアに焦点」2026年7月
- 北京新聞「国産ブランド薇諾娜、双十一(中国最大のECセール)で加速」
- WWDJAPAN「ヒット連続の『キュレル』、敏感肌化粧品市場で独走」2025年6月
- 摩熵医薬「治療薬の新適応症、優先審査へ」2026年5月
- 中国国家医療保障局 公開資料
