中国メンズスキンケア市場、購買層は30代〜50代へ拡大|信頼したブランドはリピート率35%超
中国版TikTok(抖音)のユーザー層が若者中心から全世代へ広がったことにともない、これまで美容にあまりお金をかけてこなかった30代・40代・50代以上の男性たちが、スキンケア商品を買うようになってきました。世代によって「美容に求めるもの」はまったく異なります。本記事では、Z世代から50代以上まで、世代別の購買心理と売れている商品カテゴリーを整理します。
抖音(Douyin):中国版TikTok|中国国内向けのショート動画アプリ。購入までを1つのアプリで完結できるEC機能を備える
小紅書(RED):中国版instagram|写真・動画による口コミ共有が中心のSNS。商品レビューや使用感の投稿が多く、購買の参考にされやすい
結論:中国メンズスキンケア市場で起きている4つの変化
1.購買層が全世代へ拡大
抖音のユーザー層が若者中心から全世代へ広がったことで、30代・40代・50代以上の男性も美容・スキンケア商品を買うようになってきました。
2.世代で「動機」がまったく違う
Z世代は「清潔感」、30代は「投資」、40代は「老けて見られたくない」、50代以上は「加齢によるケア・身だしなみ」と、世代ごとに購入の理由が異なります。
3.一度信頼すれば長く使う
リピート率35%超の例も中高年層は新しいブランドへ次々と乗り換えず、信頼したブランドを長く使い続ける傾向が報告されています。
4.「男性向け」を強調しない商品が伸びている
いかにも男性用というパッケージより、男女どちらでも使えるシンプルで中性的な「ジェンダーレス」設計が広く受け入れられています。
1.Z世代(18〜24歳):スキンケアは日常、動機は「清潔感」
中国のメンズ美容市場をもっとも大きく動かしているのが、18〜24歳前後のZ世代男性です。日本や韓国のように、ファンデーションやアイメイク、日傘まで日常に取り入れている段階には至っておらず、悩みの中心は次のようなものです。
よくある悩み
- ニキビを何とかしたい
- 顔のテカリを抑えたい
- 肌をきれいに見せたい
- 日焼けを防ぎたい
売れている商品
- 洗顔料
- 皮脂・ニキビケア
- 保湿アイテム(美容液)
- シートマスク
- 日焼け止め
- トーンアップクリーム
「盛りたい」というより「清潔感を整えたい」が中心の実用志向で、日本のメンズスキンケア市場が立ち上がり始めた頃と近い状況にあると見られます。一方で、化粧をしているように見えず肌だけ少しきれいに見えるトーンアップ商品が売れ始めている点は、今後の伸びしろを示すサインです。
Z世代の買い物は抖音とREDで完結する
中国のSNSはEC機能と直結しているため、「ショート動画を見る→商品を知る→口コミを見る→ライブ配信・ライブコマースを見る→その場で買う」という流れが自然に完結します。ブランドの有名・無名よりも、SNSで話題になっているか、実際に使うとどうなるか、価格に納得感があるかが、購入の決め手になっています。
2.30代:美容は「投資」、決め手は成分
30代になると、悩みは「ニキビ・テカリ・清潔感」から、「疲れて見られたくない」「ハツラツとした印象を与えたい」へと変わります。仕事や家庭で人と会う機会が増えることも影響しているようです。
広がる悩み
- 初期のエイジングケア
- ハリ・引き締め
- 目元ケア
- 頭皮・抜け毛ケア
購買行動の特徴
- 成分から調べて理性的に選ぶ
- 効果の検証やブランドの研究実績を重視
- ペプチドなど高機能成分に対価を払う
- 「面倒なケア」は避けたい
Z世代のような感覚的な選び方ではなく、「なぜこの商品がいいのか」を成分から確認する理性的な購買行動が特徴です。価格よりも「納得して購入できる理由」が重視されます。
一方で、複雑な手順のスキンケアを好む男性はまだ少数派で、美容液+保湿、保湿+エイジングケアなど1本で複数の悩みに対応する多機能・時短タイプや、1回分ずつ使い切りタイプの商品が支持されています。
3.40代:「老けて見られたくない」、決め手は信用
40代になると悩みはより具体的になります。シワ、たるみ、ハリ不足、乾燥、肌荒れ、髭剃り後の刺激、目元の疲れなど、加齢にともなう変化への対策が中心です。
この世代の感覚は「きれいに見せたい」より、「疲れて見えないようにしたい」「急に老け込んで見えるのは嫌」に近く、購買にあたっては価格そのものより「信用できるか」が重視されます。成分表を確認したり、パートナーや家族が使っている化粧品を参考にしたりする行動が見られ、海外の高級ブランドと国内の手頃で品質の良いブランドを併用するケースも増えています。
4.50代以上:「美容」ではなく「ケア・健康・身だしなみ」
50代以上になると、動機は「美容」から「ケア」「健康」「身だしなみ」へと変わります。ひどい乾燥、肌のたるみ、髭剃り後の刺激、白髪、抜け毛、頭皮環境、体臭など、加齢にともなう具体的な困りごとに対応する商品への需要が生まれています。
この年代は「SNSで流行っているから」だけでは購買に至りにくく、家族からの勧めや、CM・ドラッグストアなどで目にした、簡単で刺激の少ない商品から手を伸ばす傾向があります。そして一度「これはいい」と感じたブランドは長く使い続ける傾向があり、リピート率が35%を超える例も報告されています。新しいものへ次々と乗り換える若い世代と比べ、信頼を得られれば長期的な顧客になってもらえる可能性が大きい層です。
5.今後伸びると見られる分野
エイジングケア
シワ・ハリ・引き締め・肌の修復。30〜50代にかけてまだ伸びしろが大きい分野です。
男性向け美容液・オールインワン
化粧水・乳液・美容液・アイクリームを揃えるより、「まずはこれ1本でいい」という商品設計の方が受け入れられやすい傾向です。
日焼け止め
「美容」ではなく「肌を守る」という訴求であれば、通勤・ゴルフ・アウトドア・スポーツ用途として40〜50代にも広がります。
敏感肌・髭剃り後ケア/部分ケア
髭剃り後のケアは男性ならではの需要。目元・唇などの部分ケアは女性市場では定着済みですが、男性市場ではまだ開拓の余地があります。
6.「男性用」を強調しすぎないことが売れる理由
「MEN」「男」「黒いパッケージ」を前面に出した商品だけでなく、女性でも男性でも違和感なく使える、シンプルで中性的な「ジェンダーレス」設計の商品が広く受け入れられ始めています。男性だから特別な商品が必要というより、「自分の肌悩みに合う商品なら使う」という考え方へ少しずつシフトしているようです。パートナーと一緒に使えること、デザインがシンプルでほのかに香りが良いことなども、評価されているポイントです。
中国のミドル・シニア世代向け美容市場は、まだ本格的な競争が始まっていない分野です。良い成分を持つ日本メーカーほど、早期に市場へ入ることで認知度を先取りできる可能性があります。一度信頼を得られれば長期的な顧客になりやすい世代でもあり、越境ECやライブコマースを通じた早めの参入が、後発ブランドとの差を生みやすいと考えられます。

