中国口腔ケア市場、2030年に2兆3,400億円へ|Z世代を掴む「デザイン訴求」戦略

中国最新トレンド情報

訪日購入が消えた中国市場で、韓国ブランドが伸びている|口腔ケア1兆8,800億円市場

中国では今、歯磨き粉や歯ブラシといった基礎商品にとどまらず、舌クリーナーや口腔スプレー、デザイン性の高い電動歯ブラシなど、悩みや場面に応じて商品を選び分ける動きが広がっています。背景にあるのは、SNSやショート動画を日常的に利用するZ世代の消費行動です。本記事では、市場規模データと売れ筋商品の傾向を整理し、日本メーカーにとっての商機を確認します。

金額の換算について
本記事の日本円は、2026年7月22日前後の中国外貨取引センター公表値をもとに、1元=約24.1円で概算しています。実際の決済レート、手数料、為替変動により差が生じます。
本記事で使う中国のプラットフォーム名
抖音(Douyin):中国版TikTok|中国国内向けのショート動画アプリ。購入までを1つのアプリで完結できるEC機能を備える
小紅書(RED):中国版instagram|写真・動画による口コミ共有が中心のSNS。商品レビューや使用感の投稿が多く、購買の参考にされやすい

結論:中国の口腔ケア市場で起きている4つの変化

1.市場そのものが拡大中

約1兆8,800億円 (779億元)

2025年の中国口腔ケア市場規模です。2030年には約2兆3,400億円(973億元)まで拡大する見込みで、年平均成長率は4.5%と予測されています。

2.「歯磨き粉・歯ブラシ」以外が急成長

舌クリーナー +376%

基礎商品は市場の86.6%を占めますが、専用アプリ内での販売では、目的が明確な専門・審美商品の伸びが際立っています。

3.SNSと口腔ケアが直結

口コミ関心層 1.5億人超

写真・動画・配信を通じて自分の口元を見る機会が増えたことが、歯の白さや清潔感への関心を後押ししています。

4.「デザイン」が購買の決め手に

非ベーシック機種 60%

電動歯ブラシでは、見た目や素材にこだわった機種が主力になりつつあります。訪日機会の減少も、海外ブランドの台頭を後押ししています。

1.市場規模とセグメント構成

Frost & Sullivanの調査によると、中国の口腔ケア商品市場は2025年に約1兆8,800億円(779億元)に達しました。2030年には約2兆3,400億円(973億元)まで拡大し、2025年から2030年までの年平均成長率は4.5%と予測されています。

ここでいう口腔ケア商品市場には、歯磨き粉や歯ブラシといった基礎商品に加え、専門的・審美的な口腔ケア商品も含まれます。2025年時点の構成比は次のとおりです。

基礎口腔ケア商品

86.6%

歯磨き粉、歯ブラシなど。市場の中心は今も基礎商品。

専門・審美口腔ケア商品

13.4%

ホワイトニング、歯茎ケアなど目的が明確な商品。構成比は小さいが伸び率が高い。

2.抖音で急伸した口腔ケアカテゴリー

2026年6月、新華網は中国の口腔ケア市場に関する動向を報じました。調査会社・知行諮詢のECデータをもとに、抖音(中国版ショート動画アプリ、EC機能つき)で販売が伸びた商品カテゴリーを整理すると、次のとおりです。

商品カテゴリー前年比の伸び
舌クリーナー+376%
歯のホワイトニングシート+319%
マウスウォッシュ+90%超
口腔スプレー+90%超
口腔ケアセット+90%超
歯磨き粉+49%
デンタルフロス・歯間用品+42%

新華網の記事では、口腔ケア商品の開発において「携帯性」「使用場面への適合」「一式でケアできる商品設計」が重要になっていると説明されています。従来のデンタルケアは朝晩に洗面所で行うものが中心でしたが、現在は通勤・外食・会食・仕事・社交など、日中の生活場面でも使える商品への需要が広がっています。デンタルケアが、洗面所に置く日用品から、持ち歩く身だしなみ商品へと位置づけを変えつつあると言えます。

3.消費行動の背景にあるもの

小紅書の口腔ケア関心層

1.5億人超

2025年、小紅書で口腔ケアに関心を持つユーザーは1億5,000万人を超えました。商品レビューや使用方法、比較コンテンツが増え、消費者の商品選びも細分化しています。

Z世代のネット利用時間

1日4時間超/うちSNS・動画70%

Forvis Mazarsの調査では、1995〜2009年生まれの「新世代」は1日平均4時間を超えてインターネットを利用し、その約70%をSNSやショート動画に費やしています。

写真・動画・ライブ配信を通じて自分の顔や口元を画面越しに見る機会が増えていることが、歯の白さや口元の清潔感を、スキンケアやヘアケアと同じように美容・自己管理の一部として意識させる要因になっていると考えられます。

4.デザイン性がカギを握る電動歯ブラシ市場

中国メーカー・徕芬(Laifen)の電動歯ブラシ「i2」は、若い世代に高い支持を得ているブランドの一つです。ラインナップには、ベーシックなABSモデルのほか、アルミ合金モデル、透明素材モデル、ステンレスモデルがあります。

同メーカーが公表した2026年「618」(中国最大級のECセール期間)中の販売実績によると、i2の販売数のうち、クリア素材・アルミ合金・ステンレスといった非ベーシックモデルが60%を占めたと報じられています。内部構造が見える透明素材モデルは「ガジェット感」「未来感」が支持され、アルミ合金・ステンレスモデルは「オシャレ家電」として評価されているようです。

モデル特徴
ABSモデル(ベーシック)標準仕様。価格訴求層に強い
透明素材モデル内部構造が見える設計。ガジェット感・未来感で人気
アルミ合金モデル「オシャレ家電」として支持
ステンレスモデル高級感・質感を重視する層に人気

訪日購入の減少と、韓国ブランドの台頭

訪日にともなう個人でのまとめ買いが活発だった時期には、日本のドラッグストアや量販店で歯ブラシなどを購入して持ち帰る中国の消費者が多く見られました。訪日に対する自主的な抑制が広がって以降、その購入機会が減ったことも影響してか、代わって存在感を高めているのが、韓国発のオーラルケアブランド「SMIZE(スマイズ)」です。

SMIZEは電動ではない一般歯ブラシで、赤・黄・緑・青の強い配色、グラフェン毛、六角形グリップ、大きめのヘッドを特徴としています。デザイン性を前面に出した商品設計で支持を広げており、日本製品が空けた棚を、デザイン重視の海外ブランドが埋めつつある構図が見えます。

日本メーカーにとってのポイント
訪日購入というリアル店舗での接点が細っている今、越境ECやライブコマースは、日本製品を再び中国の消費者に届けるための有力な経路になり得ます。特にZ世代は、機能だけでなく「デザイン」「素材」「配信映え」を重視する傾向が強く、商品の見せ方そのものが売上を左右します。

5.参考:口腔ケアの基本指標

中国の口腔ケア市場では、専門的なケアへの関心の高まりとあわせて、プラーク(歯垢)の付着率を意識する消費者も増えています。一般的な目安は次のとおりです。

プラーク付着率目安
10%以下非常に良好。虫歯や歯周病のリスクが低い
20%以下合格ライン。良好に管理できている状態
30%以上歯垢が多い状態。セルフケアの改善が必要
50%以上みがき残しが多く、歯周病リスクが高まる

6.市場から見えてくること

成長性が高い分野

  • 舌クリーナー・ホワイトニングシートなど専門商品
  • 携帯できる口腔スプレー・マウスウォッシュ
  • デザイン性・素材にこだわった電動歯ブラシ
  • 小紅書・抖音での口コミ・レビュー訴求

おさえておきたい視点

  • 基礎商品(歯磨き粉・歯ブラシ)は依然として市場の86.6%を占める
  • 訪日購入という接点の減少は、越境EC側の商機でもある
  • Z世代への訴求には、機能訴求だけでなく見た目・配信映えの要素が必要

出典・参考リンク

  • 新消费观察|从基础清洁转向精准护理 口腔护理行业迎来价值升级新拐点-新华网(2026年6月)
  • Frost & Sullivan:中国口腔ケア市場規模調査
  • 知行諮詢:中国版ショート動画アプリにおける口腔ケア商品ECデータ
  • Forvis Mazars:中国「新世代」(1995〜2009年生まれ)の生活・消費行動調査
  • 徕芬(Laifen):2026年「618」販売実績発表
  • 中国外貨取引センター公表:2026年7月22日前後の人民元基準値
タイトルとURLをコピーしました