美容新ジャンル「首」に特化したスキンケア需要が急拡大|中国美容トレンド
中国の顔用スキンケア市場は、国内外の有力ブランドがひしめく激戦区です。そんな中、あるブランドが最初の商品として選んだのは、美容液でもリップでもなく「ネックマスク(首専用パック)」でした。この一点突破の裏には、スマートフォンの使いすぎに由来する新しい悩みの市場が急拡大している、という中国美容市場の変化があります。
結論:中国美容市場で起きている4つの変化
1.顔のスキンケア市場は飽和状態
国内外の有力ブランドが市場をがっちり押さえており、新ブランドが正面から戦うのは簡単ではありません。
2.「頸部ケア」市場が急拡大
前年比460%増首のシワや、いわゆる「スマホ首」への関心の高まりを背景に、頸部ケア市場全体の売上が大きく伸びています。
3.ネックマスク単体も急成長
前年比70%超増市場が伸びている一方で、圧倒的なトップブランドはまだ存在していません。
4.新ブランドは「一点突破」戦略
2026年上半期に誕生したブランドの多くが、最初から総合ブランドを目指さず、1つの悩みに絞って参入しています。
1.顔のスキンケア市場は、すでに激戦区
中国の顔用スキンケア市場は、次のような国内外の有力ブランドが押さえています。
エスティローダー ランコム 珀莱雅 薇諾娜(Winona) 自然堂
新ブランドが保湿美容液やフェイスマスクを発売しても、価格・知名度・販売チャネルの面で勝負するのは容易ではありません。真正面から戦うには、市場がすでに成熟しすぎているのです。
2.だから「首」への一点突破
スマートフォンを見る時間が増えたことで、中国では「スマホ首」や首のシワを気にする人が急増しています。その結果、頸部ケア市場が大きく伸びています。
頸部ケア市場全体
前年比460%増ネックマスク単体
前年比70%超増非常に高い伸びを記録している一方で、市場にはまだ圧倒的なトップブランドが存在していません。需要は急増しているのに、競争はまだそれほど激しくない市場だと言えます。
中国の人気女優が立ち上げた新ブランドが、最初の商品としてネックマスクを選んだのも、この「空いている市場」を見抜いた戦略だと考えられます。
3.新ブランドに共通する「一点突破」戦略
2026年上半期に誕生した新ブランドを見ると、多くが最初から総合ブランドを目指していません。例えば、次のような1つの悩み・1つのカテゴリーに絞って立ち上げるケースが目立ちます。
- 細胞レベルのスキンケア
- 肌のマイクロバイオーム
- オイル美容
- 首ケア
- メンズスキンケア
まず専門ブランドとして認知を獲得し、その後に商品ラインを広げていく戦略です。総合力で大手と戦うのではなく、狭い領域で一番を取りにいく考え方が広がっています。
4.スマホが生み出す「病気ではないけれど気になる」悩み市場
スマートフォンが生活の一部になったことで、「病気ではないけれど、多くの人が感じる不調」に対応する商品市場が広がっています。
| 悩み | 対応する商品・サービスの例 |
|---|---|
| 首のシワ・スマホ首 | ネックマスク、ネッククリーム、EMS機器、ストレッチ用品 |
| フェイスラインのたるみ | リフトケア美容機器、フェイスマスク、表情筋ケア |
| 眼精疲労・目のかすみ | アイマスク、温熱ケア、目元美容液 |
| 手首・親指の疲れ | サポーター、マッサージ機器、ストレッチ用品 |
| 肩・首のこり | EMS機器、マッサージャー、温熱グッズ |
| 猫背・姿勢の崩れ | 姿勢矯正サポーター、専用チェア |
| 睡眠の質の低下 | ナイトケア用品、アイケア、睡眠サポート用品 |
スマートフォンの使いすぎによって、入浴や洗髪、食事といった生活習慣そのものが後回しになる人も増えているとされ、生活全体をサポートする商品にも商機があると考えられます。
中国の美容市場は、顔用スキンケアだけを見ると非常に競争が激しい分野です。しかし「頸部ケア」のように、需要が急増しているのにまだ強いブランドがいない領域も存在します。総合力で大手ブランドと戦うのではなく、自社の技術が生きる1つの悩みに絞って参入する「一点突破」戦略は、体力で勝負しにくい中小メーカーほど有効な考え方です。

